外壁タイルはなぜ浮くのですか?タイルが浮かない張り方はないのですか?
タイルの浮きを
完全に無くすのは難しいことです
タイルが浮く原因は、
①コンクリート躯体と下地モルタルの挙動の違い
②下地モルタルと張付けモルタルの挙動の違い
➂張付けモルタルとタイルの挙動の違い
などによって生じるせん断力により
接着面が破断し剥がれることが原因です。
雨水の侵入によりセメント成分が溶出したり、
酸素や二酸化炭素によるセメント成分の変化によって
接着力が低下するなどの影響もあります。

タイルの浮きを生じさせない方法は、
挙動の違いを緩和する層を設けること、
挙動の違いで生じる応力にも負けない接着力を有する接着材料を使うこと、
になりますが、
今のところ有機系接着剤による乾式タイル張りが最も有効な工法です。
有機系接着剤張りの優位性を実感していただくために、
現在、多くの建物で採用されているタイル張りの
湿式工法と乾式工法の代表例をご紹介いたします。
タイル張りの工法・種類
1.湿式工法
湿式工法はセメント・モルタルを使用した張り方でタイル張りの主流です。
コンクリート躯体はどんなに精度高い工事を行っても、
その表面は少なからず波打ったり凸凹が生じるものです。
その状態でタイルを貼るとタイルの剥落・落下を招くことになりますので、
下地モルタルを施工しタイルを貼る面を平滑に仕上げます。
そして接着剤の役目をする「張付けモルタル」を使って、
タイルを下地モルタルに張り付ける方法が一般的な湿式工法です。
(1)圧着張り
下地モルタルの上に接着モルタルを4mm~6mm程度の厚さで敷き均し
タイルを軽く叩き抑えながら張っていく工法です。
(2)改良圧着張り
圧着張りとほぼ同じですが、
タイル裏面にも接着モルタルをつけて張り付ける工法です。
タイル一枚が大きい、重い、あるいは裏足の長い
タイルを張る場合に用いる張り方です。
参考:裏足=タイルの裏側の凸凹

(3)密着張り
圧着張りしたタイルを専用の振動工具を使ってタイルに微振動を与え、
接着モルタルをタイル裏面全体に行き渡らせ接着性を高める工法です。

(4)接着剤張り
有機系接着剤を使用してタイル張りを行う工法は湿式と乾式の両方があります。
下地モルタルの上に張付けモルタルの代わりに
有機系接着剤を用いて貼り付ける工法は湿式工法の一つになります。

(5)直貼り
下地モルタルによるタイル張付け面の調整を行わず、
張付けモルタルのみで直接コンクリート躯体に貼り付ける方法です。
直貼りは、コンクリート躯体表面の平滑性・均一性に難があることが多く、
コンクリート躯体とタイルを密着させて接着することが困難です。
そのため双方の挙動差による剥落・落下の懸念が大きく、
直貼り工法を原則禁止としているスーパーゼネコンもあります。
2.乾式工法
(1)引っ掛け工法
タイルを引っ掛けられるように特殊加工した専用パネルを、
外壁に取り付けた後、タイルを引っ掛ける方法で、
木造住宅の外壁に用いることが多い工法です。
(2)有機系接着剤張り
タイル張付け面の表面処理をモルタルを用いずに有機系下地調整材で行った後、
有機系接着剤を使用して貼り付ける工法です。
現在のタイル張り方法の中で最も浮きが生じにくい工法とされ、
20年以上経過した後もタイルに浮きが生じていないという実験結果もあります。
建築基準法12条の定期検査では10年毎の打診調査に替わり、
引張接着試験が認められる工法です。
