大規模修繕工事 コンクリート躯体のひび割れとコールドジョイント
コンクリートのひび割れはなぜ起こるのか
コンクリートのひび割れはなぜ起きるのでしょうか。
・ひび割れを軽減させるための添加剤
・ひび割れを軽減するための施工技術
は日々研究開発されています。
が、コンクリートは水和化合物であるがゆえに、ひび割れを皆無にすることが難しい面もあります。
コンクリートにひび割れが発生するのは、
・振動など外部応力によるもの
・温度変化による膨張収縮によるもの
・コンクリート自体の劣化によるもの
などをが挙げることができます。
コンクリート自体の劣化は、
コンクリート内部での化学的変化よって引き起こされたり、
外部環境から侵入してきた雨水による鉄筋腐食やセメント成分の流出、
二酸化炭素などの気体による化学的変化に伴い発生するコンクリートの膨張収縮や強度不足を言います。
これらのコンクリートに不具合を発生させる要因が複雑に絡み合ったり、
あるいは他の要素が加わってひび割れは進行していきます。
耐久性に影響を及ぼすコンクリートのひび割れ
コンクリートのひび割れは、
耐久性上、有害となるひび割れとそうでないひび割れがあります。
雨水の侵入、二酸化炭素や化学物質を含んだ気体の侵入などにより、
コンクリート内部で化学変化が進むことでコンクリートが脆弱化したり、
鉄筋の腐食を伴った生じるひび割れには注意が必要です。
耐久性に有害となるひび割れのうち、
少し専門的になりますが、代表的な劣化についてご紹介します。
(1)中性化
(2)塩害
(3)アルカリシリカ反応
(4)凍害
(5)化学的浸食
(1)中性化
コンクリートは強いアルカリ性(Ph12~13)を呈する物質です。
一方、鉄筋は酸化することで錆(腐食)る性質があります。
コンクリートのアルカリ性がコンクリート内部の鉄筋を錆びから守り、
外力に対し補完し合っているのが鉄筋コンクリートの最大の利点です。
中性化は、大気中の二酸化炭素がコンクリート内に進入し炭酸化反応することです。
アルカリ性を低下させ、結果、コンクリート内部の鉄筋を腐食させる原因になります。
中性化は、二酸化炭素と水分が無ければ進行することはありません。
(2)塩害
塩化物イオンによって鉄筋の腐食が促進されることです。
コンクリート内部で鉄筋の腐食が進むと次のような欠点が生じます。
・腐食した部分が膨張してひび割れや表面剥離が発生
・鉄筋の断面が減少することにより構造耐力の減少
塩化物イオンはコンクリートの素材である砂利、砂、水、セメント、添加物などに、
当初から含まれていることが多くあります。
また海岸に近い建物は、塩化物イオンの供給が多くなる傾向があります。
(3)アルカリシリカ反応
セメントに含有しているアルカリ物質(NA2SO4およびK2SO4)は、
骨材(砂、砂利)中のアルカリシリカ反応性鉱物と反応して、
コンクリートに異常な膨張を引き起こし、それに伴うひび割れを発生させます。
これがアルカリシリカ反応と呼ぶ現象です。
アルカリ水溶液と反応する代表的なものは、火山ガラス、石英や、
クリストパライト、トリジマイトなどのシリカ鉱物です。
(4)凍害
凍害はコンクリート中の水分が0℃以下になった時の凍結膨張によって発生します。
長年にわたる凍結膨張の繰り返しによってコンクリートは徐々に劣化していきます。
凍害が表面化してくるとコンクリートにスケーリング(微細ひび割れ、表面の剥がれ)が表れたり、
微細ひび割れやポップアウト(部分的な膨らみ、盛り上がり、剥がれ)などが顕著化してきます。
(5)化学的浸食
外部から化学的作用を受け、
結果としてコンクリートの結合能力を失う劣化現象のことを総称して化学的浸食と言います。
化学的浸食を及ぼす要因は、酸類、アルカリ類、塩類、油類、腐食性ガスなど多岐にわたります。
一般的な環境の中であれば化学的浸食が問題となることは少ないのですが、
温泉地や下水道関連施設、化学工場、食品工場の近隣においては、しばしば化学的浸食が問題となることがあります。
害の少ないひび割れと有害なひび割れの見分け方
コンクリートのひび割れの全てが有害なものではありません。
直ぐに補修しなくても問題の無いひび割れもあります。
変色や変状がなく、ひび割れ幅が大きくならないひび割れは、
大規模修繕工事を実施する際や他の不良個所を修繕するときに一緒に補修することで問題ありません。
一方、前章でご説明したひび割れなどは、
小さなひび割れでも将来的に建物構造に影響を及ぼす有害なひび割れです。
有害となるひび割れの多くは、
・ひび割れの廻りが白く変色している
・茶色の筋や変色がある
・透明に近いジェル状の固まりのようなものがある
・コンクリート表面が薄く剥離している
・コンクリートが膨らんでいる
・コンクリートが剥落している
・ひび割れ幅が大きくなってきている
などの変状があります。
このような変状が表れているひび割れは早急な補修を必要とするひび割れです。
専門家に相談したり、ひび割れ調査を依頼したりして、その結果を踏まえ、
応急的な補修の実施あるいは大規模修繕工事を前倒しで実施するなどの検討を行いましょう。
コンクリートのコールドジョイントとは
コールドジョイントは、上層のコンクリートと下層のコンクリートが一体化していない、
不連続な面が形成されたコンクリートの打ち継ぎ目のことを言います。
コンクリートミキサー車の到着時間が遅れたりして、
コンクリートの打設に30分以上の空白時間ができたときに発生する確率の高い不良です。
適切な処置を行うことでコールドジョイントの発生を防ぐことは可能です。
コールドジョイントが形成された場合は施工上の瑕疵と言えます。
コールドジョイントは躯体の表から裏まで貫通しているものもあり、
強度に影響を与え、雨水の侵入や二酸化炭素などの気体の侵入を容易にする脆弱部分になります。
コールドジョイントを見つけたら早期の補修が必要
コンクリートの厚みを貫通しているコールドジョイントは特に注意が必要です。
雨水がコールドジョイントからコンクリート内に侵入することで、
コンクリート内部の鉄筋が腐食したりアルカリシリカ反応が促進されたりして、
鉄筋腐食やコンクリートの脆弱化が進みコンクリートの躯体の強度不足を招く恐れがあります。
コールドジョイントを発見したときの補修方法
コールドジョイントは不良部分が深いものと浅いものがあります。
不良が浅い場合は、セメントペーストやポリマーセメントなどで表面被覆するだけで充分です。
一方、コールドジョイントの不良が深い場合は、当該部分をVカットして、
ポリマーセメントモルタルや樹脂モルタルを充填して断面の修復を行います。
不良深さが鉄筋にまで達しているときは鉄筋が現れるまでコンクリートを斫り、
鉄筋の防錆処理を施してから樹脂モルタルなどで断面修復を行います。
通常の状態では目に見えない部分、隠れてしまう部分のコールドジョイントの場合、
たとえコールドジョイントを発見したとしても、
補修せずに隠蔽してしまう施工業者もいますので注意が必要です。
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