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高圧受電設備=キュービクルの更新・改修工事と工事費用の目安

コラム

ビルのオーナー様から、
「管理会社から受け取った高圧受電設備の改修工事費用が思っていた金額よりも高かったので、
そちらに見積をお願いしたいと思い連絡しました。」とお問い合わせがありました。

 

高圧受電設備

 

高圧受電設備は、高圧受変電設備あるいは単にキュービクルと呼ぶことがあります。
6,600Vの高圧で受電して、私たちが普段使っている100V、200Vの低圧電気に変換するための設備です。

高圧受電設備を設置する目安は、50KWを超える電力の使用が見込まれるときです。
ビル、マンション、商業施設、工場、病院など大型施設はもちろんのこと、
コンビニなどの小規模店舗でも業務用冷凍庫や業務用大型冷蔵庫があると、
電気の需要が多くなるためキュービクルの設置が必要になります。

高圧受電設備を設置するメリットは、
効率の良い電気を安く使うことができる点です。

高圧受電設備を屋外に設置する場合は、
キュービクルと呼ぶ鋼鉄製の箱の中に変電のために必要となる機器、計器類を納めます。
キュービクルの大きさは消費する電気容量、トランス容量やトランスの数により変わります。
小規模ビルや小型店舗の場合、幅2~3m、奥行き1~2m、高さ2.5m前後が一般的な大きさです。

 

 

高圧受電設備=キュービクル内に設置されている機器、計器類

 

キュービクルの内部には、

・単相用トランス

・三相用トランス

・各種計器類(高圧、低圧、単相、三相のそれぞれ電流計、電圧計など)

・遮断機、断路器、開閉器などの継電機器

・コンデンサ(電力改善用)

などの電気機器およびそれらを計測監視する計器類が収納されています。

 

高圧受電設備=キュービクルの更新・改修工事とは

 

キュービクル内に設置されている機器、計器類を同等容量・規格の新しいものに変える工事は更新工事、
容量を大きくしたりトランスを増やしたりする場合は改修工事としています。

トランス容量を大きくしたり、トランスの数を増やしたりすると、
現在のキュービクル函体(鉄製の箱)には収まらなくなることもあります。
その場合は、キュービクル函体自体を新しいサイズの物に変える必要があります。

また、電気を引き込む電力会社の電線の境(責任分界点)に高圧負荷開閉器が設置されています。
高圧負荷開閉器の耐用年数(寿命)も他の電気設備機器と同様に20年から25年程度ですので、
キュービクルを更新・改修するとき、あわせて更新工事を行うことを推奨します。

 

単相(交流)と三相(交流)

 

一般家庭で使っている電気は単相交流です。
100Vと200Vのどちらの電圧も結線方法を変えるだけで使うことができます。
エアコンや食器洗浄機の一部で200V対応機種がありますが、
200V用の家庭用電気機器はまだまだ少ないため、100Vが主流となっています。

三相交流は、エレベーター、エスカレーター、店舗用大型冷凍設備、
店舗用大型冷蔵庫、ビル・店舗用エアコン、工場などで使用する製造機械など、
大型の電気設備機器で使われる電気になります。

単相交流と三相交流の電流の大きさが同じである場合、
三相交流は単相交流の√3倍の電力を得ることが出来る、
効率の良い電気であり電気料金は単相交流よりも安価です。

三相交流は三相という名前のとおり3つの波形が常に流れています。
波形の高いところの電気を使うことで効率があがります。
波形が0になった時に電気を容易に安全に遮断することが可能です。

 

 

トランスとは

 

トランスは電圧を変える(変換する)ための機器です。
キュービクル内に納められている設備の中で最も重要な機器になります。

私たちは普段の生活の中で、トランスを意識することなく何気に使用しています。
一例をあげるとスマートフォンやタブレットなどの充電があります。
スマホやタブレットの電圧はほとんどの製品は5Vの直流電気を使います。
一般的な家庭のコンセントの電圧は交流100Vですので、
トランス内蔵のACアダプタを使って直流5Vに変換して充電しています。

 

 

W(ワット)とVA(ボルトアンペア)の違い

 

トランスの容量は電圧と電流を掛け合わせたもので、単位はWではなく「VA」を使います。
電気製品の仕様書などに表示されている消費電力はW表示で、実際に消費される電力です。
一方「VA」表示は働いていない電流を含めた電力表示になります。

 

・W (ワット):実際に仕事をしている電力

・VA (ボルトアンペア):実際に仕事をしている電力+仕事をしていない怠けた電力

 

消費電力2.5kWと表示されている場合、電圧が100Vですと電流は25Aとなります。
が見かけ上仕事をしているようで仕事をしていない怠けもの電力があって、
実際に流れている電流はおおよそ32A近くになります。

ブレーカーや電線などの電気設備機器を選定するときは、
適切な容量に対応した製品を選ぶ必要があるので、その目安となる「VA」を使います。

 

 

なぜ怠けもの電力が生まれるのか?

 

その理由は、交流では電圧波形と電流波形がずれることにあります。(図1)
これは電力消費している機器の種類によって起こる現象で、
ずれた分は仕事をしないため、「怠けもの電力」が生まれます。
電気用語では「無効電力」と言います(図2)

 

無効電力に対して実際に消費している電力を「有効電力」といい、単位は「W」です。
「有効電力」に「無効電力」も含めた電力を「皮相電力」といい、その単位が「VA」です。

 

 

電圧波形と電流波形 無効電力の考え方

 

 

高圧で送電する理由と三相交流の利点

 

送電中、電線の抵抗などによって無駄に消費される電力損失というものがあります。
電力損失は電線に流れる電流の2乗に比例しますので、電流値が大きいと電力損失も大きくなります。
逆に、同じ電力の電気を高い電圧で送電すると電流を小さくすることができ、
結果、電力損失を少なくすることができます。

W(電力)=V(電圧)xI(電流)=I²xR(抵抗)

だから発電所で作った大量の電気を遠くに送電するときは、
電力損失を最小化するために電気を50万Vや20万Vといった高い電圧にして送ります。

 

また三相電流で送電するのは電線本数を少なくするためです。
単相電流の場合、発電所で作られた電気が需要箇所で仕事をしたのち、
発電所に帰ってっくるためにもう一本の電線を必要とします。
結果、単相三線式電気は合計6本の電線が必要です。

一方、三相の場合は3本の電線の合計電流がどこの時点でも±0Aになるので、
発電所に帰るための電線を必要としません。
結果、3つの相の電気を3本の電線で送ることが出来るのです。
帰りの電線が不要ですので初期費用は安くなり、
電線の更新費用や定期的なメンテナンスも少なくなることから非常に経済的な送電方法なのです。

 

 

キュービクル改修工事費用の目安

 

1000㎡程度のドラッグストアやロードサイド物販・飲食店舗などに設置されているキュービクルは、

・単相交流75KVA
・三相交流150KVA

といった電力容量のものが多いと推察します。

この規格・容量のキュービクルの更新工事費用の目安は500~600万円前後です。
工事費用は、油入式トランス(変圧器)、各種計器類、継電器類、労務費を含んだ金額です。

電力会社との責任分界点に設置する高圧負荷開閉器は数種類の仕様・規格がありますが、
一般的な気中開閉器の更新(交換)工事費は、100万円~150万前後が目安金額となります。

 

 

東京のキュービクルをはじめとした電気設備の更新・改修工事は、
千代田区西神田の東京防水・インターコンテックにお任せください

 

 

東京防水問合せ先
https://tokyobousui.com/contact/
0120-276-730

 

東京防水は株式会社インターコンテックが運営しています。
1種電気工事士と3種電気主任技術者が在籍し、
国土交通大臣の建設業許可、電気工事業許可を取得している企業です。

株式会社インターコンテックURL
https://intercontech.co.jp/

 

コラム執筆者:一級建築士、3種電気主任技術者 佐藤静

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