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高圧受電設備(キュービクル)の耐用年数はどのくらいですか? 更新する場合の内容と概算費用を教えてくれませんか?

コラム

5階建てビルで大規模修繕工事の見積依頼があり現地調査を行った際、
高圧受電設備(キュービクル)の改修時期が到来していることをお知らせしました。

高圧受電設備の法令点検を実施している電気主任技術者からも同様の指摘を受けているとのこと、
どんな工事を実施すべきか、またその工事費概算はどの程度か、提案書作成のご依頼がありました。

当該ビルは地中引込でしたので、地中引込の場合の工事内容と概算金額でご説明します。
都心部では地中引込が増えていますが、郊外は柱上(空中)引込が一般的です。
機器構成や工事内容はほぼ同じですが、地中引込の方が工事費が若干高めになります。

高圧受電設備(キュービクル)の機器構成

高圧受電設備は金属製の倉庫のような箱(キュービクル)だけではなく、
電力会社が供給する高圧電線から分岐した引込線やその先にある建物側の変電設備の全てになります。
金属箱(キュービクル)以外の機器名称や機器構成の基本的な事項についてご説明します。

 

1.開閉器=電力会社との境界点に設置する開閉器

電力会社の高圧電線から需要者側のキュービクルに引き込む電線(配電線、引込線)の境界点に設置します。
需要者側(キュービクルなど)で電気的事故が発生したとき、
近隣の電気供給にその事故の影響が波及しないようするための設備です。

(1)開閉器の種類

開閉器には大きく3つの種類があります

大きさ、重量、性能、経済性、保守点検の容易性などを考慮し、
求める品質性能と経済性に合ったものを選びます。

種類とそれぞれの簡単な特長は次のとおりです。

・気中開閉器(PAS):保守点検が容易、安価(最も普及しているタイプ)

・真空開閉器(PVS):高性能、作動時の音の発生がない

・ガス開閉器(PGS):高性能、小形、軽量(密閉構造のため使い捨て)

・地中線用気中開閉器(UAS):気中開閉器で地中線引込用

・地中線用ガス開閉器(UGS):ガス開閉器で地中線引込用

 

柱上気中開閉器(PAS)

 

 

地中線用気中開閉器(UAS)

(2)開閉器内に格納されている機器

一般的な開閉器内は、以下の2種類の機器が組合せ格納されています。

1)零相変流器(ZCT)
2)地絡継電器(GR)

地絡電流を検知し接続回路を開放することで近隣への波及事故を防ぎます。

(3)開閉器の方向性とは

開閉器には「もらい事故」を防止できる方向性を有した開閉器があります。

他の高圧需要家の地絡事故であるにもかかわらず、自分の開閉器も同時にトリップし停電するのが「もらい事故」です。
電気は最重要のインフラですので停電を避けるためにも「方向性」の製品使用が望ましいです。

 

 

地中線用気中開閉器更新交換作業中

2.キュービクル

金属製の6面体(直方体)の箱の中に、

(1)電圧、電流、電力量等の測定や表示をおこなう計器類

(2)回路の開閉等を行う断路器、遮断機、開閉器等の開閉器類

(3)過電流、地絡発生時の機器の保護、過電圧抑制等を行う保護継電器等の保護装置

(4)高圧電気を低圧電気に変換する変圧器

(5)力率の改善を行うコンデンサ

などが格納されています。

高圧電気を(通常は6600V)を低圧電気(100Vと200V、最近は400Vを使用するビルも増加)
に変換するために必要となる設備です。

 

キュービクル

高圧受電設備機器の更新時期

日本電機工業会発行「汎用高圧機器の更新推奨時期に関する調査報告書」
によると高圧交流負荷開閉器の更新推奨時期は次のとおりです。

・屋内用:15年または負荷電流開閉回数200回
・屋外用:10年または負荷電流開閉回数200回

上の更新推奨時期は、機能や性能に対する製造者の保証ではありません。
通常の環境のもとで通常の保守点検を行って使用した場合、
新品に更新した方が経済性を含めて一般的に有利と考えられる時期です。

更新時期は環境条件などを考慮する必要がありますので目安としてご活用ください。
電気主任技術者の技術マニュアル書にも同様の更新目安時期の記載があります。

 

高圧電気設備の更新改修工事費用

上でご説明したように、高圧電気設備を構成している電気設備機器の更新時期は、ほぼ20年です。
これら機器を新品に交換する場合の改修工事費用は、キュービクルの規格容量にもよりますが、
コンビニや中小ビルに設置されている容量のキュービクルの場合で、
概算250万円~350万円前後が適正価格と考えます。

高圧受電設備を設置するメリット

初期費用も維持管理費用も必要なのになぜキュービクルを設置するのでしょうか?
それは長い期間でみると多量の電気を消費する場合は電気代が非常に安くなるからです。

例えば、一般家庭で使っている100V電気(従量電灯)と、
6600V受電しキュービクルで100Vに変換した場合の電気代単価を比較してみます。

・従量電灯:約40円/KWh(300KWh超の場合)

・高圧受電:約20円/KWh

例えば1カ月あたり10,000KWh使用した場合の電気代差額は、
10,000x(40-20)=200,000円となります。

1年あたりでは2,400,00円になりますので、
高圧受電設備を設けることは納得の省コストです。

参考:セブンイレブンの一カ月当たりの消費電力量全国平均=11,500KWh/月

電気主任技術者とは・・

電気主任技術者は、高圧受電設備や電気配線などの電気設備の保安監督業務を行うことのできる国家資格者です。
高圧受電設備は電気主任技術者による定期的な点検と報告書の提出が義務付けられています。

電気主任技術者は1種から3種までの3区分に分かれています。
区分は、おおざっぱに言うと、保安監督できる規模・電気容量の違いによるものです。
それぞれの電気主任技術者が保安監督業務できる規模・容量のイメージは次のとおりです。

1種電気主任技術者:発電所、大規模工場など大容量の電気を扱う超大型施設
2種電気主任技術者:デパート、ショッピングモール、タワーマンションなどの大型施設
3種電気主任技術者:中高層建物、スーパー、コンビニ、ドラッグストアなどの中小施設

電気主任技術者は、規定された規模・容量に達するまで、
複数のキュービクルを保安監督することが可能です。

 

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コラム執筆者:一級建築士、3種電気主任技術者  佐藤静

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