気温が低いときは塗装作業を行わないと聞きました。その理由を知りたいのですが・・
大規模修繕工事を行っているマンションで、コンクリート外壁の塗装工事を施工しているとき、
管理組合理事の方から次のようなご質問を受けました。
「雨も降っていないのに塗装工事がときどき中止延期になっています。
塗装作業員さんに理由を聞いたら”気温が低いときは塗装作業は行わない方が良いので”と言うことでした。
気温が低いと塗装作業に何か支障が出るのでしょうか?あるいは作業員さんが単に寒いからですか?」
気温が低い時期に発生する塗膜不良
気温が低いと塗装塗膜の不良発生が多くなります。
塗装面の乾燥が不十分であったり、夜露や朝霜による水分を原因とする塗膜不良や、
塗料の溶剤揮発が遅くなることで塗装した塗料の乾燥が不十分となり、
塗膜に不良をきたす現象が起きやすくなります。
以下に原因ごとの代表的現象をご紹介します。
1.塗料の性能が発揮されない不良=密着不良、塗りムラ
低温下での作業や塗装面が冷えている場合、
塗料の流動性が悪くなってローラーや刷毛で塗料を塗り広げにくくなります.
塗料の流動性が悪くなると適正な塗装膜の厚みの確保が難しく、
塗りムラや塗り残しができたり、密着不良や性能低下などの原因になります。
2.塗膜形成(成膜)までに時間が掛かることが原因の不良
塗料は溶媒(水や溶剤)が揮発することで塗膜が形成されます。
気温が低いと溶媒の揮発に時間を要します。
また、職人の中には塗装しやすくするため溶媒を増やしてしまうこともあり、
成膜までの時間は温暖なときよりも更に長くなりますので塗膜の形成不良に繋がります。
(1)色ムラ:塗りやすくするために溶媒で希釈しすぎると発生し易くなります
(2)変色:乾燥不良により本来の色が発現しない現象です
(3)放射冷却による凍結:夜間の放射冷却により揮発前の溶媒が凍結する現象です
3.水分が原因の不良
成膜中に降雨や結露などで水分の影響を受けると成膜不良が起こります。
水分による成膜不良として良く見る代表的なものは以下のとおりです。
(1)白ぼけ:艶引けとも言い、気温が下がり空気中の水分が塗膜表面に凝縮することで発生します
塗膜が白く曇って、艶のない塗膜になります
(2)ひび割れ:乾燥不十分な塗膜に塗り重ねた場合や塗膜が厚い場合に発生します
(3)艶ムラ:症状は艶引けと同じですが、塗面の一部に現れるためムラが目立ちます
(4)変色:乾燥不良により本来の発色が阻害される症状です
国土交通省、日本建築学会の標準仕様書
国土交通省は「公共建築工事標準仕様書」で、
建築学会は「建築工事標準仕様書 JASS18塗装工事」で、
以下条件に合致するときは、原則、塗装作業を控えるよう定めています。
1.気温が5℃以下又は湿度85%以上の場合
2.成膜までに下地表面温度が5℃以下になる恐れがある場合
3.夜露に濡れる、降雨、降雪の恐れがある場合
低温時に塗膜不良を発生させないための対策、注意点
1.被塗装表面が日光で温まり、乾燥するのを待ってから塗装する
屋根や外壁は夜露や朝霜で濡れやすい場所のため、濡れた状態のままで塗装は行わない。
2.日陰になる場所、風当たりの強い場所の塗装は天気条件が良い日中に塗装する
3.日没2時間ぐらいに前には作業を打ち切り、条件の良いうちに乾燥を行う
一日のうちでは日没前後から急に気温が下がるのが普通であり、
さらに夜半より明け方にかけて露や霜の降りることもある
4.塗料は0℃以下の場所で保管しない
5.作業後含め、天気予報(雨・気温・温度・湿度)をチェックする
雨が降る予想や気温が下がる予想のときは、ブルーシートを掛けるなど養生を行う
6.冬場の高圧洗浄は、乾燥に3日以上の期間を取る
7.溶剤が揮発しやすく乾燥硬化が早い2液タイプを使用する
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