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屋上に排水ドレンを設置する場所や個数に規則や規準はありますか?改修ドレンを設置するときに注意する点はありますか?

コラム

「屋上の排水ドレンは建物の4隅に設置するのが当然と思っていたのですが、
私たちのマンションの場合は中間にも排水ドレンがあります。
ドレンを設置する位置や数に規則規準のようなものがあるのでしょうか?」

と、マンション大規模修繕の現地調査に伺った際、
管理組合の理事さんからご質問がありました。

 

建築基準法等で定められた規則規準はありません

 

屋上にドレンを設置する位置や個数に関する建築基準法等で定められた規則規準はありません。
国土交通省は、官庁営繕部及び地方整備局等営繕部が官庁施設の営繕を実施するための資料として作成した
「建築設計基準の資料 」の中でルーフドレンの数と径について次のように記載しています。

http://chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.mlit.go.jp/common/001473345.pdf

 

国土交通省「建築設計基準の資料」内に収載されているルーフドレンに関する記載

 

同資料の中に記載されている排水に関する内容を以下に転載します。
表2記載の雨樋管径と受け持つ最大屋根面積から、
竪樋本数を決定する流れとなっています。

 

2.5.2 防水・排水に関する事項

 

(1) 防水層の種別は、基準2.5.2(1)の規定によるほか、下地の構造の剛性を考慮して選定する。

(2) ルーフドレンの数及び径は、最大降水量、屋根面積等を考慮したものとし、余裕ある処理水量を確保する。
なお、ルーフドレンはできる限り2箇所以上設ける。

(3) といの径は表2を目安とする。

(4) といを屋内に設ける場合は、必要に応じて、結露の防止を考慮する。

(5) 周辺環境、屋上の維持管理の方法等を考慮し、必要に応じて、落葉によるルーフドレンの目詰まりの防止措置を講ずる。

 

国交省「建築設計規準の手引き」ルーフドレン

 

国土交通省の「建築設計基準の手引き」の記載内容を要約すると、

”表2に記載されている管径と受け持ち得る最大屋根面積を使用して、
最大降雨量を上回る余裕ある排水能力となる雨樋径と数を設計しましょう。”

ということです。

 

 

最大降雨量により竪樋の径と数が決まります

 

竪樋の径(サイズ)と設置する個数は、屋上の排水計画を行う上で重要な事柄です。
屋上全体の面積を算出し、屋上に降る雨量を割り出して、
必要となる竪樋径と本数、各竪樋が均等に負担する設置位置を決めていきます。

 

(1)1本の竪樋が負担する屋根の水平投影面積を算出します

 

(2)降雨強度(時間当たり降水量)を設定する

降雨強度は、気象庁や地方自治体が発表している「雨に関する50年に一度の値」を使用したり、
雨樋メーカーだ出している設計資料を参考にして、最終的には設計者が決定します。
一般的に、多くの自治体や設計者は降雨強度160mm/hを用います。

 

(3)竪樋1本あたりが負担する排水雨量を求める

屋上面積に降雨強度を掛けて、屋上全体に降り注ぐ雨量を計算します。
竪樋の設置可能な位置を割り出し、本数を確認し竪樋1本が負担する面積を算出します。

私の場合、陸屋根の竪樋1本あたりが負担する屋上面積は、水頭50mmとして、

径100:100平米
径125:165平米
径150:225平米

を目安に設計しています。

 

(4)上で仮決めした竪樋の径、本数が以下の条件を満たせればOKです

 ・竪樋1本あたりが負担する排水雨量 < 竪樋の排水量

 

検証の計算を行った結果、排水能力が足りない場合は、

・ドレン位置を増やす
・竪樋径を太くする
・高排水パイプを採用する

などの方策を施し、降雨量よりも排水能力が上回るまで繰り返します。

 

最近は雨樋メーカーのWEB上で自動計算してくれるサービスがあり、
それを使うと簡単に径や本数を決めることが出来ます。

 

参考:排水量計算式

 

竪樋の選定にはメーカーの自動計算サービスや排水能力表などを使用しますので、
設計者がこの公式を実際に使用することはほぼありません。

メーカーが提供している自動計算サービスは、この公式が使われ計算されています。
参考として掲載いたします。

 

竪樋の排水量=トリチェリーの公式

Q=A′×2gH
  • Q:竪樋の排水量(㎥/s)
  • C:流量係数(0.6)
  • A’:竪樋排水有効断面積(㎡)
  • g:重力加速度(9.8m/s²)
  • H’:高度水頭(m)

 

既存防水を改修するときに改修ドレンを設置する理由

 

防水工事を改修するときに設置する改修ドレンの目的は、

・防水層とドレン金物の接続部の防水切れ
・ドレン金物と雨樋パイプの接続部の防水切れ
・横引きパイプの亀裂

などを覆って不良部分をカバーすることです。

目に見えないあるいは隠れた部分に、

・隙間が出来ている
・亀裂が入っている

などの不具合を発見し修理することは非常に困難であるため、
改修ドレンで覆ってしまうことは確実かつ安価な方法となります。

詳しくは過去コラムでご紹介しています。ぜひご参照ください。
https://tokyobousui.com/%E6%94%B9%E4%BF%AE%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%95%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%E9%98%B2%E6%B0%B4%E6%94%B9%E4%BF%AE%E6%99%82%E3%81%AF%E5%BF%85%E3%81%9A%E6%94%B9%E4%BF%AE

改修ドレンを設置する前に確認すべき点

 

ドレン金物と雨樋パイプは正しく接続されていないと雨漏りの原因になります。

・逆勾配になっていないうえに、勾配が適切
・ドレンとは雨樋パイプの接続は接着剤が使われていて動かない
・竪樋は取付金物を使って適切に躯体に固定され、強風でも動かない
・竪樋は適切な強度のあるものを使用している

 

 

改修ドレンの設置で排水能力は低下します

 

改修ドレンは既存の排水パイプの中に改修ドレンと一体化したパイプを差し入れる形態です。

よって改修ドレンを設置すると排水のパイプ径が細くなりますので排水能力は低下します。
どのくらい低下するかというと例えば既存のドレン内径が100φであった場合、
適合する改修ドレンの内径は84φですので、排水能力は約37%ダウンすることになります。
改修ドレン設置後の排水能力が降雨量を上回っているか、しっかりと検証する必要があります。

ドレンの箇所数を増やすことは現実的ではありませんので、
改修ドレン設置後の排水能力が大幅に足りなくなる場合は、
竪樋を高排水パイプに交換する必要があります。

高排水パイプはサイフォン作用の効果により、
通常パイプの排水能力の数倍以上を確保することが可能な製品です。

建物所有者や依頼者に十分な

説明を行い、
豪雨時の排水処理に関しての認識を共有しておくことは重要なことです。

 

高排水パイプ接続図

 

 

高排水パイプ特徴、メリット

 

 

植物の繁茂・堆積にはご注意を

 

ドレン廻りはゴミが溜まりやすく、
泥が溜まりそこから植物が繁茂したりします。

ゴミや泥があるとドレンの排水能力が低下しますので、
小まめにゴミや泥を取り除く定期清掃の励行が理想です。

雑草などの植物が繁茂したら植物は抜かないほうが良いで小す。
植物の根は防水層を貫通していることもあり、
むやみに抜いてしまうと穴が開いたり防水層を破壊して雨漏りの原因になります。

植物の繁茂を見つけたときは、専門家に相談しましょう。

 

東京の大規模修繕工事、防水工事、外装改修工事は、
千代田区西神田の東京防水にお任せください

 

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コラム執筆者:一級建築士 佐藤静

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