屋上防水工事 塩ビシート防水の特徴と施工方法
塩ビシート防水とは
工場で生産された塩化ビニル樹脂の防水シートを、
現場で張り合わせて防水層を作る工法です。
塩ビシート防水の特徴
使用する塩ビシートは柔軟でかつ弾性のある素材です。
建物躯体の挙動や既存防水層の伸縮に追随します。
ウレタン防水と同様、
既存防水層を撤去することなく重ねて施工することができます。
1.長所
1.工場で生産された防水シートを使うため品質は一定です
2.既存防水層の凸凹の影響を比較的受けにくい材料です
3.施工時の天候に大きく左右されることが無いため、
大面積の屋上、短期間の施工に向いています
4.施工時の美しい状態を維持しやすい防水材料です
2.短所
1.可塑剤が添加されているため、
可塑剤の気化によりシートが固くなってひび割れしやすくなります
2.機械的固定工法の場合は固定金具を躯体に固定する際、
騒音や振動が発生します
3.非歩行の製品が多く、特に重歩行には向きません
4.シートを熱風で溶かして張るため、
複雑な形状の場所や狭い場所には向きません
5.職人の技術不足が原因で、
防水シートの接着部分が剥がれることが多々あります
6.シートが比較的重い(約30kg/㎡)ので、
重ね張りや設備機器重量に注意を要する場合があります
塩ビシートの固定方法
塩ビシートを躯体に固定する方法の違いによって
2つの工法があります。
既存防水層を撤去しない被せ工法で改修する場合は、
機械的固定方法を選択することが一般的です。
1.接着工法
接着剤を使って防水シートを接着します。
・接着する際、シートが拠れたり、空気が入り込みやすいので、
ある程度の人数が必要となります。
・下地や既存防水層から水蒸気の発生が懸念される場合は、
通気シートを使用しますが、
機械的固定工法に比べて施工に手間が掛かります。
2.機械的固定工法
固定金具を躯体に取り付け、
固定金具と防水シートを溶着し防水層を形成していく工法です。
・固定金具を躯体に取り付ける際に、
コンクリートにドリルで穴を開けたり
アンカーを取り付ける際に騒音、振動が発生します。
・通気シートを使用することで、
既存防水層から発生する水蒸気を脱気筒から排出します。
また、防水シートが既存防水層に密着しないため、
既存防水層の凸凹などの影響を受けにくくなります。
・風によって起こるシートのフラッタリング(波打ち)によって
固定金物が変形し、最悪の場合シートを破断させることがあります。