一級建築士コラム～職人に聞いたちょっと変わったアンケート～

毎月あるいは隔週で定期刊行している建築専門誌は多々あります。

その中でも多くの建築士が定期購読しているものは、
新建築、日経アーキテクチャ、建築知識、
住宅系では住宅特集、日経ホームビルダーなどです。

これらの雑誌は、
新しく竣工した建物のデザインや納まり、特徴を紹介したり、
新しく開発された工法、新材料などを紹介しています。

建築士や施工管理技士の多くは、
研修会や製品説明会に参加したり、展示会を訪れたり、
あるいはこのような専門誌を読んでは、
情報や知識のブラッシュアップを行っています。

職人さんたちへのアンケート

一方、技術的な情報の他に、
不定期ではありますが、特集記事などの形で、
お施主さんや職人さんに対して行ったアンケート調査の
回答や集計結果を掲載することがあります。

少し趣向の変わったアンケート記事を見つけましたので、
なるほどと感心した記事の一部を抜粋しご紹介します。

職人さんたちが思う
良い建設会社、良い現場とは？

１．工程の狂いが少ない会社や現場

・しっかりと組まれた工程表がある

　　①予備日等が入れてある
　　②工種毎の関連性が判り易い

　　など、工夫された工程表の現場は
　　工程の狂いが少ないという意見でした。

　　このような工程表だと、
　　自分が施工する前後の工事内容がわかるので、
　　現場入りの日程を組みやすいということです。

・しっかりと組まれた工程表の現場は、
　段取りが良く、作業効率が良いので、
　品質も自然と良くなる

なかなか鋭い意見だなあと感心してしまいました。
職人さんたちも現場の作業効率や施工品質を
気に掛けていてくれているのだなと感謝です。

職人さんたちの施工品質が悪くなるのは、
現場監督の段取りの悪さ、
技術者のわかりづらい説明のせいが大きいのかと、
改めて考えされられる意見でした。

２．相応年齢の、経験を積んだ
　　監督（技術者）さんがいる

・職人になめられることなく、
　適度の緊張感と親近感をもって現場を管理している

適度の緊張感と親近感を出すことは、
若年者の監督さんには難しいことです。

相応の年齢と経験が必要なのことは、その通りだと思いました。

・初顔合わせの職人がほぼいないので、
　段取り、作業効率が良い

経験豊富な監督さんの現場は、
顔見知りの職人が多く、
お互いの段取りを知った仲なので、
融通が利き、作業効率が良くなることは実感しています。

・自分本位のヘルプ職人や、
　社長の友達などワガママな職人が居ないので、
　現場の雰囲気を乱す者がいない

雰囲気の悪い現場は、何かとトラブルが多くなります。
業種相互の取り合い部分の納めや引継ぎ（引渡し）が悪かったり、
段取りが悪くて工程が空くなどのトラブルが起こります。

そういう現場に限って、普段は起きない施工間違いや、
施工品質が劣悪になるなども起きがちです。

３．後（あと）戻り工事、
　　後（あと）手間工事が少ない

工事内容や工法に関して深い知識を持っている監督さんや技術者さんは、
お施主さんへの説明が的確で、先手先手の確認によって
変更工事、追加工事が少ないので仕事しやすいということです。

どの職人さんも、
一度施工したものを壊したり、
やり直したりするのは嫌なものです。

そうならないよう、先手先手で確認していくのが、
監督さんや、技術者さんの役割です。

私見：信頼できる建設会社とは？

職人さんへの変わり種アンケートを読んで、
信頼できる建設会社をどう探していたかを思い出しました。

私は、富士薬品勤務時代、
設計した建物を施工してくれる建設会社を選ぶ立場でした。

建設会社を選ぶときの指標として、
資本金、創業年、社員数、売上高など、
会社規模や経営状況を確認していたのは当然です。

どんな資格を持った監督（技術者）さんが在籍しているか、
職人さんたちの技能資格はどのようなものかも調べました。

職人さんたちが生き生きと誇りをもって、
仕事できる環境を作るのは、
社長さんであり、職人さんたちを束ねる監督さんです。

会社の規模はあまり大きくなく、
改修工事を得意とする建設会社であれば、
社員10～20名、年間工事高10億円～20億円を目安にしていました。

結局は「人」ってことでしょうか・・・。

東京の大規模修繕工事、防水工事、外装修繕工事は東京防水へお任せください。

東京防水インスタグラム

https://www.instagram.com/tokyobousui/

コラム執筆者：一級建築士　佐藤静