雨漏りは施工ミス、手抜き工事が原因ですか?
「新築して3年くらい経ったころから雨漏りがはじまりました。
最初は少し気になる程度でしたけど、
次第に少しの雨でも雨漏りするようになって量も増えてきたの。
雨漏りするたびに電話すると、見に来て、ちょっと直して、
また様子見てくださいっていう調子で、
根本的な原因とか修理とかはっきりしないものだから、
そちらに相談してみようかと思いまして・・。
工事が悪かったから雨漏りが起きているんですかねえ?」
とのお電話でした。
雨漏りの原因は
工事ミスばかりとは限りません
著名建築家が設計した有名な建物でも
新築当初から雨漏りに悩まされてきたものはたくさんあります。
建物名称を挙げると差し障りがありますので控えますが、
中には皆さんも良く知っている建物もあります。
デザインを優先するあまり、納まりが悪くなる部分が出てきて、
そこから雨漏りが生じることがあります。
デザインを優先するか、納まりや雨仕舞いを考えた造りにするかは、
建物の使用目的、設計者の意図、依頼者のデザイン優先指向などで
決まりますので一概には言えないところがあります。
個人が建てる住宅やビルの場合でもデザインを優先するお客様は
少なからずいらっしゃいます。
雨漏りが起きる可能性をご理解していても、
デザインを優先した建て方をすると
雨漏りが起こる危険は少なからずあり得ます。
建物が整形で、
納まりの悪い箇所がない建物の場合は
工事ミスが考えられます
新築当初はシーリング材など防水性のある材料で隙間を埋めたり、
隙間を覆う処置がしてありますので、
雨漏りが起こることは滅多にありません。
しかし年数が経つとシーリング材などの防水材料は
紫外線で劣化し硬化し、次第に隙間出来たり、
シーリング材の割れが生じたりして雨漏りがはじまります。
一旦雨漏りがはじまると自然に直ることはありません。
耐候性の高い材料を用いても、
紫外線による材料劣化を皆無にすることは不可能です。
シール材料などの1次処理部分が破壊されても、
雨水がさらに建物内部に進行していかないよう、
防水紙や金属による2次処理(下地処理、捨て処理)を通常は施工します。
しかし2次処理をすると表面のデザインに影響が出るため
処置出来ない場合意匠性の高い建物があります。
あるいは2次処理を知識として知らない監督者や職人が、
新築工事を担当することもあります。
雨漏り修繕の方法を知らないために、
取り敢えずシール処理しておけば問題ないだろうと
安直に考える技術者、職人もいます。
図面上に2次処理の方法が明記されている、
あるいは社内検査等で不備を発見できれば、
こういった未熟な施工ミスは防ぐことが可能です。
上のような建物は雨漏りが再びはじまったら、
現在のシール材の上にまたシール材を重ね塗る対象療法を繰り返します。
長く住み続けるには、根本原因を突き止め
2次処理までを施した修理が望ましいのですが、
費用が掛かるので施工に踏み切るのをためらうことになります。
思い切った工事をすることの重要性はご理解いただいても、
どうしても工事費を優先せざるを得ないことも承知しています。
東京防水はSDG’Sに取り組んでいます。
建設廃材を極力出さない、再生利用可能な建設資材の利用促進を進めています。
この考えから既存防水層は不良部分を補修・修繕し、
撤去することなく2次的防水層として活用しています。
雨漏りの原因
防水材料が紫外線で硬化することで、
温度の変化や建物の振動に対して伸縮追従することが出来なくなり、
防水材料に穴が開いたり破れたりして出来た隙間からのものが最多です。
①屋根が谷になっている ②軒の出が浅い ➂屋根勾配が緩い
④屋根と壁の取り合い部分に不具合がある ⑤壁立上り板金の折返しが浅い
⑥雨樋が細い ⑦建物形状が凸凹している ⑧バルコニー下に部屋がある
などは工夫改善すれば雨漏りを減らすことができます。
いずれにしても建物の形状、納まりが複雑だったり難がある、
重なり部分や納まり部分の対策が甘い建物は、
雨漏りが生じやすい建物と言えます。