外壁のタイルの張り方と伸縮目地

外壁タイルの張り方は、
タイルの重さで変えます

外壁タイルをどのように張っていくかを知っている方、
実際に張っている作業現場をご覧になったことがある方、
は多くいらっしゃると思います。

 外壁タイルの修繕工事を行う上で、
タイルがどの方法で張られているかを知ることは、
大変重要なことです。

タイルの張り方はタイルの大きさや重さにより変わります。

タイル自重を支える接着強度を得る方法で張り付け、
長い期間それを保持する必要があります。

したがって、サイズが小さいあるいは薄くて軽いタイル場合と、
横幅がある大きなタイルや厚く重たいタイルの場合では、
張付け方法が異なります。

45二丁掛タイルの場合（軽いタイル）
＝圧着張り

中小規模のマンションやビルの外観に使われるタイルは、
45二丁掛タイルと呼ばれるものが多いです。

45二丁掛タイルはモザイクタイルの仲間で、
大きさは横95ｍｍ、高さ45ｍｍ、厚さ7ｍｍ程度です。

通常は横3枚、縦6枚を目地を設けてあらかじめ並べた、
紙張りという状態で流通しています。

タイルは平滑な面に張り付けないと剥落・落下の原因になるので、
モルタルでタイル下地を作ります。（モルタル下地）

下地モルタルに張付けモルタルを2回に分けて塗ります。
1回の塗付け面積は3㎡以内とし、
かつ20分以内にタイルを張り終える広さとします。

張付けモルタルの上に紙張り状態のモザイクタイルを押し付けて、
タイル目地部分から張付けモルタルが盛り上がってくるまで叩き締めます。

小口タイルや二丁掛けタイルの場合（重いタイル）
＝改良圧着張り

小口タイル（横108ｍｍ、高さ60ｍｍ　厚さ10ｍｍ）と
二丁掛タイル（横227ｍｍ、高さ60ｍｍ、厚さ10ｍｍ～20ｍｍ）の
張り付け方法は改良圧着張りと呼ばれる方法を用います。

コンクリート躯体に木ゴテで押え均して下地モルタルを塗るところまでは
モザイクタイルと同じです。

下地モルタルの上に4～6ｍｍ程度の張り付けモルタルを施工します。
張り付けモルタルの1回の塗り付け面積は60分以内に張り終える広さとします。

タイルの裏面（裏足）全体にも張付けモルタルを平らに塗り付け、
壁の張り付けモルタルに押し当てて、
両方の張り付けモルタルの総厚が6ｍｍ程度になるまで、
周囲に張付けモルタルがはみ出すまで叩き締めます。

タイルに裏足があるのは、
張付けモルタルとタイルの接着面積を
できるだけ大きく確保して接着力を高めるためです。

またタイルを叩き締めることで裏足全体にモルタルを行き渡らせ、
タイルと接着モルタルを確実に密着させてタイルの剥落を防ぎます。

下地モルタルは厚く塗りません

下地モルタルは既調合モルタルを使用します。
10mm程度の塗り厚で十分ですので、
それ以上は厚く塗らないようにします。

厚く塗りすぎると、
下地モルタルとコンクリート躯体との接着性が悪くなり、
振動や雨水などの外的要因が加わることで、
モルタルとタイルの自重に耐えられず剥落する恐れがあります。

下地モルタルで平滑性を確保するのではなく、
コンクリート躯体の精度を上げて下地モルタルを薄くする施工が理想です。

タイル張りには伸縮目地が必要です

タイル張り外壁は外気温や日射によって熱せられタイルが膨張収縮します。
その熱応力による伸縮によってタイルには剥がれる力が働きます。

また、コンクリート躯体は常に微振動を繰り返していて、
躯体とタイルの挙動の差異、
サッシュなどの拘束による膨張収縮のズレが生じています。

これらの内部応力は弾性目地を設けることで吸収します。
これを伸縮目地と言い、
タイル同士の干渉による割れや浮きの防止の役目をしています。

伸縮目地はゴムのように弾性があって紫外線に強く汚れにも強い、
ポリサルファイド系か変成シリコン系のシーリング材を用います。

ポリウレタン系シーリング材を使用する場合は
成分涌出が少ないノンブリードタイプを用います。

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ブログ執筆者：一級建築士　佐藤