タイルの伸縮目地の役割と修繕方法
タイルに伸縮目地が必要な理由
タイルは気温の変化や太陽光の日射によって、
タイル自体が伸長収縮を繰り返します。
加えてコンクリート躯体と外壁タイルは、
伸長収縮の度合いに差があります。
さらにサッシュなどによる拘束でタイルに内部力が加わります。
これらの伸長収縮差や拘束力によりタイル同士は干渉し、
浮きや剥落を起すことにつながります。
これら伸長収縮差や内部抗力を吸収するのが伸縮目地です。
伸縮目地は弾性があり紫外線に強いシーリング材が用いられます。
伸縮目地はコンクリート躯体目地と同じ位置に設けます
タイル伸縮目地は、
①コンクリート躯体の水平打継ぎ目地
➁ひび割れ誘発目地
と同じ位置に設けなけらばなりません。
コンクリート躯体の伸縮差は誘発目地に集中させ、
タイルの伸縮差は伸縮目地に集中させるので、
コンクリート躯体とタイルの両方の動きを、
同じ位置に集めて縁切りを行うのが最も安全な方法です。
躯体に目地が無い場合でもタイルの伸縮目地は必要です
PC工法の壁式コンクリート構造躯体などは、
ひび割れ誘発目地を設けない場合があります。
そのような場合でも、外壁タイルには3〜4m程度ごとに、
また10㎡以内ごとに伸縮目地を設けます。
伸縮目地はタイルだけでなく、
下地モルタルの段階から設けなけらばなりません。
入隅、出隅の伸縮目地は重要です
出隅の役物タイルは熱伸びによって、
直行方向にタイルを押し出す力が働きます。
入隅は熱伸びによる力の逃げ場を失い、
浮き上がりの方向にタイルを剥がそうとうする力が働きます。
出隅の直近と入隅に伸縮目地を設けないと、
タイル浮き、タイル割れやタイル剥がれなどが生じます。
まぐさのタイルは剥落しやすい場所です
まぐさ(窓上部)のタイルは
張り付けた直後から自重によって浮き易い(剥がれ易い)状態にあります。
また、出隅と同じように壁の熱伸縮の影響を受けて、
浮き易く剥がれ易い場所です。
タイル目地から入った水がまぐさ部分に集まり
白華現象を発生させたり、
その水が凍結してタイルを押し出すなど、
まぐさタイルは最も剥がれやすい場所です。
したがって、まぐさ部分の直近に伸縮目地を設け、
タイル裏に水が廻らないように張り付け、
しっかり目地詰めをすることが重要です。
タイルが万一浮いても剥落しない工夫として、
タイル裏面に銅線やなましステンレス鋼線を取り付けて、
躯体に固定しモルタルで張り付ける方法もあります。
タイルとサッシが接続(取り合い)部分も
伸縮目地が必要です
サッシなどの金物との取合い部にも伸縮目地を設けます。
タイルもサッシもどちらも熱伸びするので、
お互いの熱伸びを衝突させないようするのが目的です。
伸縮目地を設けお互いの力を吸収します。
また、シーリング材を使うことで
・サッシと躯体の間
・サッシとタイル間
の止水効果も得ることができます。
伸縮目地の修繕はシーリング打ち替えが基本です
シーリング打ち替えとは、
現在のシーリング材を撤去して
新しいシーリング材を充填し直すことを言います。
古いシーリング材は紫外線などの影響で弾性や伸縮性の成分が失われ、
シーリング材に亀裂が入ったり、タイルとの間に隙間が出来たりして、
伸縮目地の機能を十分に発揮していません。
新しいシーリング材がもつ弾性や伸縮性の機能を十分に働かせるためには、
古いシーリング材は撤去する方法が推奨されます。
万一、現在のシーリング材の撤去が難しい場合は、
シーリング材を現在の上に重ねて施工することは可能ですが、
現在のシーリング材と同じ成分種類のシーリング材を使用すると、
接着性が良く接着力が長期間確保できます。