雨漏りは、こんな場所からも起こるものなのですね
東京防水が雨漏りの現地調査を行った際、
お客様が驚かれた雨漏り発生箇所を少しご紹介したいと思います。
雨漏り現象が分散して現れているときは、
雨漏りの原因は一つだけとは限らず、
それぞれが別の原因で雨漏りしている可能性があります。
また、当初の建物設計・施工のときにちょっとした配慮があれば
雨漏りが引き起こされなかった事例もあります。
本来設計時に配慮するべきだった点なども書いてみたいと思います。
1.塔屋基礎と床の接合部入隅に詰めた
モルタルが収縮したことによる隙間
屋上防水の保護コンクリートと塔屋の外壁基礎の取り合い部の目地が劣化し、
その部分から雨漏りが生じていました。
入隅になるので水が溜まりやすい場所でしたので、
既存目地を撤去しシーリング処理した後にメッシュ補強して、
ウレタン防水で入念に仕上げました。
2.サッシュ下枠と床との間の
隙間埋めモルタルからの浸水
本建物の場合、上の手描き図面に描いてある通り、
サッシュと床の間の隙間からも雨水が入ってきていると推測しました。
サッシュはコンクリートにアンカーで固定し、隙間はモルタルで埋めて
シーリング処理するのが一般的です。
モルタルは経年で縮みますので隙間が生じてきます。
無収縮モルタルや防水モルタルを使う業者は〇、
さらに水返しや止水版が施工されていると◎です。
現状サッシュは水切り板と一体化したものでしたので切断することも出来ず、
隙間をシーリング処理してウレタン防水塗膜を水切りに接して施工することで
水の侵入を防ぐように工夫しました。
施工から半年以上経ちますが、今のところ浸水は止まっているようです。
万一、浸水が始まるようなことがあれば、サッシュを一旦取外して、
しっかりとした防水対策工事を施す必要があると考えています。
3.階段手摺壁の隙間(床接合部にも隙間)
屋外階段が取り付く場所は少し複雑な形状をしている建物でした。
手摺壁(袖壁)の小口接合部にかなりの隙間が出来ている状態で、
ここから入った雨水が防水層の下に廻り込み
雨漏りが生じていると推測しました。
本建物は当箇所以外の複数個所で雨漏りが発生しているため、
弊社がご提案した改修方法をご検討くださっているところです。
4.谷樋の排水能力不足による
屋根水下側からの逆流
緩勾配の瓦棒葺き屋根で水下にもパラペットが立ち上がっているために
谷樋で雨水を処理している屋根です。
谷樋は、屋根面積に対して十分な排水能力を持つだけの幅や高さが無く、
よって強雨時には瓦棒の淀や小舞、さらには芯無し瓦棒のキャップ部分から、
谷樋に滞留している雨が浸水している状態だと推測出来ました。
屋根を葺き直すのが最も安全な方法ではありましたが、
水下1.5m程度にある瓦棒を撤去し、
野地板を張り替えてウレタン塗膜防水を施しました。
水下屋根を排水溝の役目も果たす屋根に改修することで、
工事費を抑え工期を短縮方法で一旦改修し、
暫くは様子をみる選択を行いました。