東京防水の一級建築士コラム:住宅火災から身を守るには避難経路の確保を
コロナ感染は収まる気配を全く感じさせず猛威を振るい続けています。
ルイヴィトン銀座並木店、前橋市のJINZPARKやアートホテル、
溝ノ口のNTTビルなど見に行きたい建物は沢山あるのですが、
しばらくは我慢のstayhomeのため建物探訪はお休みにさせて貰います。
8月に入っても雨の被害のニュースが毎日報道されています。
さらに私の住む近くでは救急車のサイレンや消防車の半鐘が
聞こえない日はありません。
家を購入するときにハザードマップをチェックする方は
多くいらっしゃると思いますが、
火災の際の避難経路まで考えている方は少ないのではないでしょうか。
お盆の休みに消防白書を通読し、防耐火性能が向上した現代でも
相変わらず住宅火災に合われる方は思った以上に
減少していないことを感じました。
平成30年、建物の火災による死者数は1146人いらっしゃって、
うち住宅火災による死者数は1028人と
住宅火災による死者数がとても多いことがわかります。
住宅火災の件数自体は減っているにも拘わらず、
住宅火災で命を落とす方はそれほどには減っていません。
65歳以上の高齢者に限ると10年前とほぼ変わらない
多くの方が火災により命を落としていることがわかります。
現在の家は防耐火性を向上させた建築材料の使用が法整備されているので、
火災の延焼は免れるものの、
火災で発生する一酸化炭素などによる窒息での死亡が37.6%を占めています。
また次に多い火傷の中には肌直接の火傷のほかに咽頭、
気管や肺の火傷も含まれているそうで、
火災発生によって引き起こされる煙、
ガスによる被害は相当大きなものだと思います。
住宅火災の発生原因は、たばこ14.3%、ストーブ11.9%、電気器具8.6%、
コンロ3.7%の順で多く発生している一方で、
原因不明が約50%もあるのには驚かされます。
住宅火災で逃げ遅れにより死亡した人の割合は54.9%を占めています。
そして逃げ遅れの原因は、病気・身体不自由13.2%、熟睡11.4%、
延焼拡大が早かった6.7%、消火しようとして2.9%となっています。
万一火災が発生しても、火災の発見が早く、
どこの部屋からでも容易に避難できる住宅になっていれば
少しは安心して暮らせるのではないでしょうか。
住宅火災から身を守る方法としては、
1.火災の発生に早く気づくことができる住宅用火災報知器を設置する。
火気を取り扱う台所、ストーブを使う部屋は設置することをお勧め。
2.避難する方法、避難経路などを予め検討しておく。
万一、火災が発生した場合に最短距離で避難できるルートを決めておく。
が有効だと専門家も推奨しています。
我が家のリフォーム工事を書いたコラムの中でも少しご紹介しましたが、
リフォーム工事を計画したときに、火災の際、安全に避難できる経路を確保した
間取りに変えました。
地震時の屋内避難場所も決めてあり、
その他の災害を含め万一の時の避難対策を家族全員で共有しながら
暮らしています。
これまでの常識では考えられない様々な災害が増えています。
皆様には命を守るための住宅内・外の避難に関して
出来るところから始めて欲しいと願ってます。
*図表は総務省消防庁「令和元年版消防白書 火災による状況」より抜粋