コンクリート打ち放し建物の大規模修繕工事
コンクリート躯体を化粧塗装することなく、
コンクリート素地をそのまま見せたコンクリート打放しで、
その上にフッ素樹脂クリア塗装仕上げを施した建物でした。
前川國男さんや安藤忠雄さんの建物で多く見ることができる外観です。
コンクリートの耐候性や耐久性を損なわない目的で
フッ素樹脂の透明な膜で覆う場合があり、
これをフッ素樹脂クリア塗装仕上げと呼びます。
フッ素樹脂クリア塗装仕上げを施したからといって
コンクリートにクラックが生じないことはありません。
むしろクラックが目立つのはフッ素樹脂クリア塗装の方です。
一方、フッ素樹脂クリア塗装のコンクリートは、
中性化やアルカリシリカ反応に対する抵抗度や耐候性は良くなるので、
躯体の構造的な安全性は高くなります。
建物の使用用途・性格上、制約があり写真を使ってご紹介できません。
どうぞご了承ください。
建物概要:RC造免震構造 地下1階地上3階建て(地下2階にゴム免震層)
建築面積:約950㎡ 延べ床面積:約3500㎡
竣工:1999年11月
用途:医薬品開発の研究所
2016年4月~7月に大規模修繕工事を実施
品質条件:10年程度の後、移転の可能性ありで時限的修繕を実施
1.屋上防水
1)調査時状況
・一部に雨漏りはあるが、大部分は通常使用に支障のある雨漏りはなし
・既存防水はアスファルト防水の上に保護コンクリート
・目地の劣化は多少あったが、
保護コンクリート自体のクラックは少なく、
コンクリートの中性化も進んでいなかった
・屋上は変電設備、冷暖房用機器、排気機器などの
設備機器が設置されていた

2)修繕工事内容
・保護コンクリートの目地を撤去しシーリング充填
・コンクリートのクラックが少なく中性化が進行していなかったこと、
今後5~7年程度の使用を予定しているので
高圧洗浄後ウレタントップコート塗布のみを施工
2.外壁修繕
1)調査時状況
・コンクリート収縮、温度変化、応力拘束を原因とするクラックが
多くの箇所で見られた
・上記クラックのうち、西日があたり北風があたる場所のクラックから
セメント成分が湧出している箇所があった(アルカリシリカ反応)
・誘発目地にはシーリング材の割れやシーリング材の剥がれ隙間が
多くの箇所で発生していた
・上記誘発目地周辺でヘアークラックが生じていた


2)クラック修繕方法
・クラック幅2mm以上は、Uカットしポリマーセメント充填
・クラック幅0.5mm以上2mm未満は、エポキシ樹脂静圧注入
・クラック幅0.5mm未満はアルファテック380*を塗布
3)シーリング打ち替え
・コンクリート誘発目地はウレタンNBで打ち替え
・サッシュ周りは変成シリコンで打ち替え
4)外壁塗装
・外壁のフッ素樹脂クリア塗装は、経年により剥がれ落ちている所が
多くあったので、フッ素樹脂塗料が残っていた部分は高圧洗浄し
古い塗膜を除去。
・エスケー化研セラミクリートSiで塗装仕上げ。
選定理由:7年後には移転の可能性があったので、
10年程度の耐候性がある塗料を選定。
さらに研究員が24時間勤務していること、
動物実験が行われている施設であったことから、
実験に影響を与えないよう臭いの少ない
オール水性のコンクリート打ち放し保護工法を選定。
*アルファテック380は、無溶剤型の自己浸透型エポキシ樹脂接着剤
3.本工事で行った特別配慮
・コンクリート打ち放しの風合いを変えたくなかったので、
色や塗り方の試験施工を数回重ねて、
ほぼ施工前と変わらない風合いを保つ塗料・工法の選定を行った。
・実験動物にストレスを与えると試験値に影響が出る可能性があることか
ら工事中の音を60db以内に保つよう工夫を行った。
対策の一つとして動物実験室に騒音測定器を24時間設置し監視した。
東京防水は修繕目的や施工場所の事情に合わせた
特別な配慮にも対応できる知識と経験があります。