コンクリートのひび割れとその補修方法 補修が必要なひび割れとは?
前回のコラムで、コンクリートのひび割れが起きる原因と、
性能低下に結びつくひび割れなどについてご紹介しました。
今回は、補修が必要となるひび割れ幅、
ひび割れ幅の違いによる補修方法をご紹介します。
(日本建築学会及び日本コンクリート工業会は、「ひび割れ」
を使用していますので、本ブログは「ひび割れ」で統一します。)
日本コンクリート工業会の基準
公益社団法人日本コンクリート工学会は、
部材性能を低下させることがないひび割れ幅を下のように規定しています。
1.鋼材(鉄筋)腐食の観点からのひび割れ幅:0.3mm以下
2.防水性・水密性の観点からのひび割れ幅:0.15mm以下
(コンクリート厚が18cm以上の場合)
ひび割れ幅に対応した補修の必要性
日本コンクリート工業会は、ひび割れ幅に対応した補修が必要か否かを、
下表のように定めています。
性能低下に影響のないひび割れ「小」
(鉄筋腐食0.3mm以下、防水性0.15mm以下)
については補修の必要性は無いとしています。
しかし、建物を20年以上にわたり長く使い続けることを想定する場合や、
アルカリシリカ反応や中性化などコンクリート内部で劣化が進行している
ひび割れが疑われる場合は補修が必要となりますので、
専門家に見てもらうようにしましょう。
ひび割れ幅の違いによる適切な補修工法
日本コンクリート工業会では、ひび割れ幅を3段階に分け、
それぞれに適用する補修工法と使用する材料を以下のように指導しています。
1.ひび割れ幅0.2mm以下:表面被覆工法(シール工法)
2.ひび割れ幅0.2~1.0mm:注入工法
3.ひび割れ幅1.0mm以上:充填工法
下図は上表に書いてある補修工法について、
どのように行うのか一般的かつ理解しやすいように図解したものです。
補修剤メーカーなど民間企業各社は、それぞれ独自研究と開発の努力により、
質の良い補修材料製品を提供しています。
それらの製品の取扱い説明書などにも補修方法などの記載がありますが、
いずれも大きな違いはありません。