信頼できる見積書はどこを見れば良いですか?
A:見積書を見るだけで判断するのは難しいのですが・・・
多くの場合、現地調査後2~3週間程度で見積書が届きます。各社の見積金額はバラツキが大きい場合もあり、一般的に会社の規模が大きくなるに従い工事金額は高くなる傾向にあると思います。また、見積書の書式や工事の区分けも各社それぞれで、複数の見積書の工事内容や工事金額を比較検討することは、大変な労力を必要とします。
少し専門的になりますが、国土交通省や地方公共団体(県、市など)は、各々独自に工事費を見積る際の基準を、公共工事積算基準と称した文書で公表しています。一般的に役所工事と呼んでいる公共工事の見積りは、その積算基準や標準歩掛り(工事に必要とされる標準的人数が記載されている)に基づいて作成します。書式は統一され、見積書を作る側も見る側も便利さを実感できるように工夫されています。
注意した方がよい見積書とは・・
本ブログをお読みくださった皆様の比較検討の労力を少しでも減らすことが出来ればと思い、注意してご覧になった方が良いと思う見積書に関して少し持論を書かせて頂きます。
・表紙が無い
・工事金額と経費の区別がわかりづらい
・値引き金額が大きすぎる
・工種(工事内容)ごとに区分して書いてない、工種分けが少ない
・使用する材料などのグレード、成分、メーカー、品名、型式などの記載がない
・数量が多すぎる、少なすぎる(難しいのですが、他社の数量より大幅に多い、少ないときは要注意)
・単価が極端に高すぎたり、安すぎる(これも難しいのですが、他社の単価と比較して過大、過小すぎるときは要注意)
以上の点に注意して見積書内容を整理すると理解しやすくなると思います。
また、疑問点や不明点は躊躇せず質問し、明確な回答や説明が得られない場合は信頼できない業者、見積書なのかな?との判断材料になると考えています。
見積書は、工事内容、数量、単価の三要素だけの単純な構成で出来ています。
工事内容欄はわかりやすく整理され、仕様・規格欄に細かいグレード、製品名、品番などの記載があって、なお且つ数量と単価は常識的なバラツキの範囲内に納まっているのであれば、信頼して良い見積書、業者さんだと思います。
東京防水の見積書例
弊社の見積書の構成や書き方の例をご紹介いたします。
出来るだけわかりやすい見積書になるよう心掛けて作成しています。
内訳書
どのような工事を、どこの場所で、どんな材料を使って、どのくらいの数量を、単位当たりいくらで工事するのか(単価)を書いたページが内訳書です。一つの工種当たりの金額は小さいものもありますが、それらが積み重なっていくと、大きな金額になります。
名称(工事内容)
例えば以下のようなコンクリートクラック処理工事の場合の弊社記載例をご紹介します。あくまでも一例としてご覧ください。
名称 仕様・規格
コンクリートクラック補修 1mm以上 Uカットしポリマーセメントモルタル充填
同上 0.2mm~1.0mmまで エポキシ樹脂静圧注入
同上 0.2mm以下 ポリマーセメントペーストで被覆
弊社が見積書を作成する際に心掛けていることは、お客様が見積書を見て一目で簡単に理解してもらえるように記載することです。
数量
各々の工事で実際に施工する数あるいは量のことです。単位は距離mや面積㎡を用います。
上のひび割れの場合はひび割れ長さ(距離)になりますので、工事するひび割れの総延長をm単位で記入しています。数量は現地調査で計測したり、計測出来ない場合は竣工図面から拾う(計算する)のですが、拾う(計算する)人の知識や現場経験によってバラツキが大きく出ることがあります。また意図的に数量を大きくして、代わりに工事単価を安く見せる建設会社もあります。
単価
工事を行う距離mあたり、あるいは面積㎡あたりの工事金額です。得意、不得意がありバラツキが生じますが、2倍や3倍もの開きが生じることは考えにくいことです。高グレードの材料や高級製品を使用した見積り、あるいは逆に低グレード材料の使用や簡便な施工による低い金額の見積書を提案してくる場合もあります。他社見積書と比較して金額が大きく違う場合は、理由を尋ねられることも必要だと思います。
東京防水の調査報告書
大規模修繕工事の見積を作成する場合は、事前に建物の現況調査を行います。東京防水では、お客様に現在の劣化状況を把握・認識して頂くこと、また自社内での情報共有を図る目的で調査報告書を作成し、お客様に見積書と一緒にお渡ししています。劣化状況がわかる写真や図面などで劣化場所を明示し、劣化度や原因を記載した上で、その劣化状況に合致した適切な補修方法を記載した報告書に仕上げています。