大規模修繕工事のお役立ち情報
マンションの大規模修繕工事の計画を進めたり工事に着手するためには、管理組合員さんの合意形成、承認を得る必要があります。
組合役員さん(理事)のご苦労やご負担は、一般的に構成組合員数(戸数)が多くなるに従い大きくなる傾向にあります。
役員さんの多くは、「区分所有者の皆さんは総論では同じ意見で前向きなのですが、なかなか・・・」と仰います。
書類上に書かれていることに僅かな認識の差異があったり、丁寧でわかりやすい説明を怠ったことが原因で、一体感、信頼感にボタンの掛け違いのようなズレが生じたまま進んでしまい、最終的な合意形成になかなか至らないといった状態の管理組合さんをお見受けすることがあります。
集会などで使う専門用語の意味は、全員で再確認しましょう
このような状況を招かないためには、書類や説明会の場で用いる(専門)用語の意味や使い方を、組合員さん全員が同じレベルで理解し共通語として認識することは、とても重要な「初めの一歩です」というのが私の持論です。
私たち建築士にとって建築基準法はバイブルであり、その建築基準法の第2条では、「用語の定義」として32語の単語の意味・解釈を定めています。
建築基準法で定めきれなかった(定め忘れた?)用語は建築基準法施工例(政令)で定め、そこでも定められなかった用語は、条文中で括弧書きにして定義付け(意味の説明)を行っているものもあります。
管理規約や長期修繕計画の中に記載されている単語や言葉は、日常生活を送るうえで必要としない専門的なものが多く、「組合員皆様の理解・認識の統一を図るために、区分所有法や大規模修繕工事で使う用語の意味・定義を関係者全員で確認することからはじめてみてはいかがですか」と、ご相談を受けた管理組合の役員さんにお薦めしています。
公的機関の資料のご活用を・・
前回のブログで国土交通省が実施した「大規模修繕工事の実態調査」(アンケート結果集計)をご紹介いたしました。
管理組合さんの多くは、民間の管理会社に事務業務の代行を依頼したり、建物や建築設備の保守点検、日常清掃などの業務を委託していると思います。
管理会社は建物竣工時に長期修繕計画の作成に携わり、定期的な建物営繕や調査・診断を行っているため、最も身近な「かかりつけ医」的な存在であると言えます。
大規模修繕工事を計画し実施する場合においても、管理会社さんの意見を重要視なさるのは当然のことと思います。
が一方で、利害関係のない第三者に調査・診断を依頼し、意見を求め参考になさることもお薦めします。
さらに、国土交通省や国土交通省指定の公的機関においては大規模規模修繕工事に関する資料を発行し、マンション管理に関するセミナーなども開催しています。
資料やセミナー情報はホームページからも入手することが出来ます。
公的機関が発した資料は、客観性があり他のマンションの事例と比較対照が可能となるため、組合員皆さんの信頼度が高く、多くの組合さんで活用して頂きました。
公的機関は相談窓口も設けています
これら公的機関では大規模修繕工事に関する相談も可能です。
万一、管理会社、コンサルタント会社、建設会社の説明や工事内容、工事金額などに疑問が生じた場合は、ご活用なさることをご一考くださいませ。
<相談窓口>
・(公財)住宅リフォーム・紛争処理支援センター
https://www.chord.or.jp/reform/consult.html
住まいるダイヤル:0570(016)100
※工事費用に関する「見積チェックサービス」(無料)も行っています。
・(公財)マンション管理センター
http://www.mankan.or.jp/06_consult/tel.html
建物・設備の維持管理の相談:03(3222)1519