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大規模修繕工事 タイルの浮きが通常より多い建物が増えています

コラム

(外部足場シートに掲示した「東京ビルリニューアル」は、
 大規模修繕工事を専門とする東京防水と同列のブランド名です。)

前回のコラムで、外部足場仮設前の事前調査において、
発見や予見が難しかったタイルの浮きの実態をお伝えしました。

前回のコラムのページ

https://tokyobousui.com/%e3%82%b3%e3%83%a9%e3%83%a0/%e7%9b%ae%e8%a6%96%e8%aa%bf%e6%9f%bb%e3%81%a7%e3%81%af%e5%88%a4%e5%88%a5%e3%81%a7%e3%81%8d%e3%81%aa%e3%81%8b%e3%81%a3%e3%81%9f%e7%94%9a%e5%a4%a7%e3%81%aa%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%ab%e3%81%ae%e6%b5%ae/

9月中旬から始まった大規模修繕工事進行中の建物は、
2005年に新築したRC造、45二丁掛けタイル張り外壁です。

今回も目視調査だけでは
タイルの浮きなどの表面変化を発見することが難しかった、
非常に軽微な浮きが広範囲かつ相当数に点在して建物でした。

タイルの浮きはどこで起きていたか

前回の建物同様、タイルは下地モルタルが無い直貼り工法で張られ、
コンクリート躯体と張付けモルタルの界面でタイル浮きが発生していました。


タイル直貼りは2000年前後、工期短縮、コスト削減のために多用され、
時間の経過とともにタイルの浮きが目立って多く現れている工法です。

タイル浮きの原因を推測

タイルと張付けモルタルを剥がしてみたところ、
下地モルタルは無くコンクリート躯体が現れました。
直貼り工法によるタイル張りで間違いないでしょう。

さらにコンクリート躯体表面は、
平滑であり光沢がある状態でしたので、
型枠にはパネコートを使用したと推測できました。

パネコートとは、合板表面をウレタンで塗装したり、
剥離剤を塗布したりなどの処理を行った型枠用合板です。

コンクリート表面にそれら化学物質の残留付着があると、
張付けモルタルとの接着力を低減させてしまうので、
タイル張り外壁には向かない型枠材です。

浮いたタイルの剥がし状況とコンクリート躯体の表面状況

コンクリート躯体にタイルを張る手順

型枠を外したのち、コンクリート躯体にタイルを張っていく工程は、
大きな流れとして次のような手順が一般的です。

1.超高圧水などでコンクリート躯体面を目荒らしする

2.タイルを張る面全体のコンクリート躯体に存在する
  段差の解消、穴やジャンカの塞ぎ、平滑性確保を目的として、
  タイル張り用の下地モルタルを塗る
  木ゴテ仕上や箒目などでモルタル表面は粗く仕上げる

3.張付けモルタルや接着剤を使用してタイルを張る


タイル直貼り工法の問題点

直貼り工法は、下地モルタルがありません。
コンクリート躯体に直接タイルを張り付けます。

コンクリート躯体自体の平坦性を確保することは、
どんなに丁寧に確実に施工しても非常に難しいことです。

平坦性が無い凸凹のコンクリート面に、
硬いタイルを平坦に張ろうとすると、
コンクリート躯体とタイルの界面に隙間が生じる、
あるいは接着の弱い箇所ができるのは当然のことです。

その接着力の弱い箇所に振動が加わったり雨水が侵入するなどによって、
タイルが浮きはじめ、次第に廻りのタイルにも悪影響を及ぼします。

コンクリート躯体に小さな段差やジャンカなどを見つけた場合は、
モルタルなどで補修するのが基本なのですが、
そのままタイルを張ってしまう工事会社が多いのが実情です。

工期短縮、コスト削減のために行う工事会社と、
基本を知らない、施工不備を見抜くことができない、
元請け建設会社の現場監督の多いことも一因なのです。

今回のタイルの浮きの原因は・・・

1.コンクリート躯体の下地処理不足

  型枠にパネコートを使用したようですので、
  張付けモルタルの接着力を十分に保持できなかった可能性があります。


  鏡面状で不陸のあるコンクリート躯体面にタイルを直貼りするときは、
  コンクリート躯体の目荒らしを施すべきです。
  それを怠った施工が原因です。

2.型枠継ぎ目などの処理不足

  型枠の継ぎ目(合わせ目)にはセメント成分が滲み出て、
  小さな段差が出来ます。

  下地モルタルが無いタイル直貼りの場合は、このような小さな段差や、
  穴、ジャンカなどの不良部は薄付けモルタルで補修が必須です。

浮きタイル撤去後のコンクリート躯体状況

建築学会「建築工事標準仕様書」

一般社団法事建築学会HP
https://www.aij.or.jp/books/categoryId/789/

建築学会が発行する「建築工事標準仕様書」には、
「JASS19セラミックタイル張り工事」
にタイル工事に関することが書いてあります。
(2022年の改訂に合わせ「陶磁器質タイル張り工事」から改題)


2005年、2012年の改訂を経てコンクリート躯体の下地処理や
目粗し施工に関する技術が確立してきた経緯があります。

タイル浮きが多い建物が増えている理由

2000年代以前のタイル張りは、圧着張りあるいは改良圧着張りが主流でした。
接着剤や張付けモルタルに混入する混和剤の開発により、
2000年代前半は工期短縮、工事費削減のために直貼り工法が多用されました。

タイル張りの施工方法や施工技術の試行錯誤を繰り返した時代で、
今となってはタイル張り外壁の受難の時代であったとも言えます。

タイル張りを行う表面は、
粗いことが常識です

40年以上建築に携わっていますが、
タイルを張る表面は粗くすることは昔からの常識でした。

パネコートを使ってコンクリート躯体を作ること
光沢ある表面を目粗しすることなくタイルを張ること
は基本的知識をちゃんと理解していれば選択いたしません。

目粗しをしてタイルを張り直しました

タイルの浮きが激しかった箇所は浮いているタイルを取り除き、
コンクリート躯体の目粗しを行った後、タイルを張り直しました。

目粗し実施後の検査

タイルの浮きが軽微な箇所はエポキシ樹脂注入や、
アンカーピニングエポキシ樹脂注入による接着力の向上を図りました。

アンカーピニングエポキシ樹脂注入状況

目粗しの施工方法に関しては、過去コラムをご参照ください。

https://tokyobousui.com/%e3%82%b3%e3%83%a9%e3%83%a0/%e5%a4%a7%e8%a6%8f%e6%a8%a1%e4%bf%ae%e7%b9%95%e5%b7%a5%e4%ba%8b%e3%80%80%e3%82%bf%e3%82%a4%e3%83%ab%e5%bc%b5%e3%82%8a%e3%81%a8%e3%82%b3%e3%83%b3%e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%88%e3%81%ae%e7%9b%ae/

東京の防水工事、大規模修繕工事、外装修繕工事は千代田区西神田の東京防水にお任せください。

「東京ビルリニューアル」は東京防水と同じ、インターコンテックが運営する外装修繕工事を専門とする部署のブランド名です

コラム執筆者:一級建築士 佐藤静

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