大規模修繕工事と防水工事の建築基準法 木造耐火建築物
木材の構造強度を強くする技術の進歩と、
木材の耐火性能を向上させる技術開発が進み、
4階建て以上の木造建物(耐火2時間)を建てることが可能となってきました。
共同住宅(マンション)をはじめとした高層の木造建築物は
CO2削減、地球環境に優しい建物として、
今後更に需要は増していくと考えます。
支持強度向上=CLT(直交集成材)
Cross Laminated Timberの略で、
JASでは直交集成材という名称を使っています。
木の繊維方向にひいた厚さ5cm以下、幅10cm程度の板(ひき板)を、
横方向に接着して作った集成材を、さらに、
上下の板が繊維方向が直交するように積層接着した木材のことです。
個別の大臣認定取得が必要なくなりました
2016年(平成28年)3月31日と4月1日に、
CLTに関する建築基準法告示が施行されました。
告示に基づく構造計算等を行うことにより、
大臣認定を個別に受ける必要がなくなりました。
通常の構造計算に則った構造審査によって建築確認が行え、
時間と費用を要する大臣認定取得が不要となったことは、
CLT建築普及の後押しになりました。
(構造計算に係るCLT材料の品質及び強度も定められました。)
(関連告示:国交省告示第611号、612号、561号、562号)
CLTは鉄筋コンクリートの1/5の重量
CLTは鉄筋コンクリートに比べて重量は5分の1以下です。
CLT:0.5 t/m3
鉄筋コンクリート:2.4 t/m3
これは基礎コストの軽減が可能で、
材料輸送費も軽減できるので、
建物全体の工事コストを下げることに繋がります。
CLTの耐火
CLTの耐火は、
1.荷重支持部
2.燃え止まり層
3.燃え代層
の3層の考え方で成り立っています。
1.荷重支持部:耐火試験炉での2時間のバーナー加熱終了後、耐火試験炉内に放
置し24時間以内に部材の耐火被覆層が自ら燃焼を完全に停止し、
かつ構造体部分の非炭化が合格の条件となります。
2.燃え止まり層:2時間仕様の場合、耐火試験炉の内部は1050℃まで上昇し、木
材が燃えて炭化する温度260℃を大幅に超える状態で耐火性能
を確保することが求められます。
これにより鉄筋コンクリート造や鉄骨造の耐火構造部材と同等
の耐火性能であることが証明されたこととなります。
3.燃え代層:ゆっくり燃えて熱の侵入を抑制し、第2層の燃え止まり層の石こう
系材が熱を吸収して、荷重支持部が燃焼・炭化温度の260℃を超え
ない状況を作り出すことで、耐火性能を確保しています。
2時間の耐火構造部材の実用化により、
14階建てもしくは建物の最上階から14層までを
木造とする建物の建設が可能となります。
耐火CLTはSDGsな建築材料です
耐火CLTは、国産木材のスギ、ヒノキ、カラマツ
をはじめとした産地指定による木材の使用が可能です。
国産木材利用と森林資源の循環というSDGsな社会の構築が可能な建材です。