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屋上やベランダの防水工事 代表的な種類と特徴

コラム

防水層の作り方別による種類

1.塗膜防水

塗膜防水は液体状の防水材を塗り広げて一体的な防水層を作る種類で、
歩行が可能な防水です。

他の防水方法と最も大きく違う点は、
防水する場所全体を継ぎ目の無い連続した防水層として作ることです。

継ぎ目(重なり部分)は、弱点となることがありますので、
その点において他の防水よりも勝っていることが一番の特徴になります。

(1)ウレタン防水

ウレタン樹脂の防水材を使用します。
ウレタンは伸びや弾性のある樹脂材料です。

防水する場所の面積、下地の状態や劣化度などにより、
以下の工法の中から最も適した工法を選択します。

当社施行例:ウレタン防水通気緩衝工法
・密着工法

防水する下地(コンクリートやボード類)にウレタン防水材を直接2~3回に分けて塗り重ねる工法です。

面積が狭いベランダや既存の防水層が比較的健全な場所に適した工法です。

・通気緩衝工法

通気緩衝シートと呼ぶシートを敷設した後に、ウレタン防水材を2~3回に分けて塗り重ねます。

防水面積が広い場合、
防水下地や既存防水層に水分が残っている可能性が高い場合、
防水下地や既存防水層の状態が良くない場合などに適した工法です。

当社施行例:ウレタン防水通気緩衝工法
・機械的固定工法

防水下地の状態があまり良好でないときに用いる工法です。
強度が強く通気も確保できるシートを敷設することで、
既存部分からの悪影響を大幅に軽減することが出来ます。
ウレタン樹脂を2~3回に分け塗布します。

(2)FRP防水

FRP防水はガラスマットを補強材にしてポリエステル樹脂を塗布します。
ポリエステル樹脂は硬くて傷のつきにくい樹脂ですが、
弾性が少ないのでガラスマットによる補強が必須です。

通気緩衝工法と密着工法があり、作業工程はウレタン防水とほぼ同じです。
ウレタン防水との大きな違いはガラスマットによる補強が必須でることです。

当社施行例:FRP防水(2層目)

2.シート防水

シート防水は工場で生産されたシートを現場で接着張り合わせの施工を行います。1枚のシート幅は90cm~1mが主で、シートの重ね代は10cm前後です。

施工者の技術をそれほど必要としないため、仕上り品質のバラツキが少なく、大面積を短時間で施工できるのが特徴です。

シートの素材は、


・加硫ゴム
・塩化ビニル
・酢酸ビニル

があり、いずれも歩行可能です。

仕様工法は、


・接着工法:防水下地に接着剤で直接接着
・機械的固定工法:通気の確保と既存下地からの悪影響を大幅に軽減

の2種類があります。

当社施行例:塩ビシート防水

3.アスファルト防水

当社施工例:アスファルト防水トーチ工法によるカバー工法での改修

アスファルト防水は、アスファルトルーフィングを敷設しその上にアスファルトを塗布するという作業を2~3回繰り返して防水層を作ります。

一般的なアスファルト防水は、アスファルトを260℃に熱します。
常温で施工する工法、ガスバーナーで部分的に熱しながら施工する工法などがありますが、アスファルトで防水層を形成するという基本は同じです。

アスファルトの臭いや熱による影響があるのが特徴です。
アスファルト表面を目的に応じた処理をすることで歩行も可能になります。

防水種類による様々な違い

1.防水層の作り方


  継ぎ目なし:塗膜防水


  継ぎ目あり:シート防水、アスファルト防水

2.耐用年数

  メーカー及びメーカーが所属する各団体ともに、
  種類による違いはほとんど無く、全て約15年としています。

  気温や直射日光などの自然条件や、使用状況、立地・場所などによる影響が 
  大きいとしています。

3.工事費

  防水の作り方の種類に拘わらず、ほぼ同程度の金額です。

  おおよその目安金額は、
  どの防水でも3,500~8,000/㎡程度になります。
  
  
  
  工法やグレードによる違いで金額に幅はありますが、
  中グレード仕様で6,500/㎡前後が中央値になります。

4.防耐火

  耐火建物の屋上に防水施工する場合は、
  いずれの種類も問題なく使うことが出来ます。

  木質系下地の場合は、
  国土交通大臣の「飛び火認定」取得品の使用が必須です。
  

  FRP防水とシート防水は、
  「飛び火認定」を取得した製品が多くあります。

5.防水層の重さ

  メーカーや工法により違いはありますが、
  建築基準法の構造計算に用いる重さは以下の通りです。

  ・ウレタン防水:4kg/㎡

  
  ・FRP防水:3kg/㎡

  ・シート防水(シート厚1.2mm):2.5kg/㎡

  ・アスファルト防水(厚さ12mm):18kg/㎡
     (ただし保護コンクリート60mmを打設する場合140kg/㎡をプラス)

6.工事の難易度

  工事の難易度に大きな差はありませんが、
  アスファルト防水は火や熱を使用しますので取り扱いに注意が必要です。


7.職人の熟練度の違い

  ウレタン防水とアスファルト防水は、
  ある程度の経験と技術が必要です。

  (1)ウレタン防水:・水勾配を考慮した平坦性と適切な厚さ確保
            ・空気の微粒子が中に残らないように塗り延す技術


     上の2項目を満たすには、金鏝による塗布が最も適しています

金鏝を使用したウレタン防水塗布

  

(2)アスファルト防水熱工法:・アスファルトの温度管理
               ・アスファルトの適切な厚さ管理
               ・端部と張り合わせ部の処理

東京の大規模修繕工事、防水工事、外装改修工事は、千代田区西神田の東京防水にお任せください。

コラム執筆者:一級建築士 佐藤静

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