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シーリングの役割とシーリングの施工手順 品質の高いシーリング工事のためのチェックポイント

コラム

シーリングの基本の確認

1.シーリングの役割

シーリング工事は目立つ工事ではありませんが、重要な役割を担っています。
雨が建物へ侵入することを防ぎ、建物の老朽化を予防する役目を果たしています。

2.シーリングが施工されている箇所

(1)外壁にはひび割れを防ぐためあるいは挙動差異による破壊を防ぐため、
一定の距離または面積ごとにひび割れ誘発目地を設置します。
目地のすき間に弾性で伸縮性に富んだシーリング材を充填することで雨水の侵入を防ぎます。

(2)異種材料間の接続部分の隙間もシーリング材で埋めます。
建築材料は温度変化による伸縮の違いがあるため、隙間を良好に保持するには高弾性の材料で隙間を埋めます。
隙間無しで建材を設置すると建材がぶつかり合い、材料がめくれあがったり隙間が拡がったりします。

3.シーリング材の種類

現代の建築界においてシーリング材料は合成樹脂を主成分とする化学製品が主です。
シーリング材を硬化作用の観点から次の4種類に分類することができます。

湿気硬化型:空気中の水分と反応して硬化
シリコン系、ポリウレタン系、変成シリコン系、アクリル系

乾燥硬化型:溶剤や水が揮発乾燥することにより硬化
ブチルゴム系

非硬化型:表面に酸化皮膜を形成する(内部は硬化しない、マスティックタイプとも言う)
油性コーキング

混合反応硬化型:主剤と硬化剤を混ぜ合わせ化学反応によって硬化
ポリサルファイド系

 

品質の高いシーリングに仕上げるための施工手順

(1)既存シーリング撤去

細かく残ったシーリングカスや薄膜をスクレーパーなどで丁寧に取り除くことが、
健全なシーリング目地を奇麗に作る最も重要なコツです。

サイディング目地などのワーキングジョイントのシーリング打ち替えの場合は、
既存シーリング撤去後、目地が深すぎるときはバックアップ材を充填したり、
目地底の剥離テープを確認し、剥離テープの不良があるときは新しい剥離テープを貼ります。

(2)マスキングテープ貼り

マスキングテープは目地ぎわに沿って貼ります。
凸凹や模様のあるボードはマスキングテープを貼るのが難しいですが、根気良く丁寧に貼ります。

(3)プライマー塗布

シーリング材と基材との接着性を高める役目があります。
小分けにしたプライマーをハケで充分かつ均一基材両脇に塗布します。
乾燥時間は概ね30分程度、冬期は60分程度が標準です。

 

(4)シーリング材充填

プライマー塗布後8時間以内を目安にコーキングガンを使って充填します。
強く一気に押し出して充填すると空気が入り易くなります。
ノズルを目地底に当てて、目地の深さと幅に合ったシーリング量を押し出し隅々まで充填します。
途切れたり山になったりしないように上から下に向かって充填していきます。

(5)ヘラ押え

充填後速やかに、シーリング表面が基材とほぼ面一になるよう押さえながら、
空気が入っていないか確認しながら余分なシーリング材を取り除いていきます。
マスキングテープ上に残ったシーリング材はマスキングテープを剥がすとき、
目地廻りを汚す危険がありますので奇麗に取り除いておきます。
ヘラ押え作業後、シーリング表面を奇麗に均して仕上げます。

(6)マスキングテープ剥がし

シーリング材が固まるとマスキングテープが剥がせなくなります。
出来るだけ速やかにマスキングテープを剥がします。

(7)施工後の清掃

不要部分に付着したシーリング材は、塗料薄め液や有機溶剤で拭き取ります。
シーリング材の汚れを拭き拡げないよう注意しながら行います。

 

シーリング工事の品質チェックポイント

1.既存シールを奇麗に丁寧に取り除いているか

細かなシーリングの残りカス、薄膜まで取り除くことが最も重要な作業です。
接着面となる基材両脇(小口、小端)に旧シーリング材が残っていると、
新しいシーリングの接着性が下がり剥がれ易くなる弱点となります。
ワーキングジョイントは特に丁寧な除去に努めます。

2.プライマーは小分けにし、充分な量を丁寧に塗布しているか

プライマーは空気中の水分を吸収して粘性が上がります。
塗り難くなったり、ゴミや異物が付着しやすくなりますので小分けにします。

旧シーリングの薄膜が除去されていると、プライマーの濡れ色を確認することが容易です。
塗りムラのないように目地側面を均一に2回塗りするのが標準です。

3.シーリング材を充填したらしっかり押さえているか

シーリング材を目地底から充填したらヘラ等でしっかりと押さえて、
シーリング材を目地の隅まで行き渡らせます。
接着性の向上とシーリング材内部に入った空気の追い出しを行うことにつながります。

ヘラ押さえの後には均し作業を行い仕上げます。
シーリング材の表面が滑らかに仕上がるように丁寧にヘラ均しを行います。

4.マスキングテープは出来るだけ速やかに剥がしているか

仕上げのヘラ均しが終わったらマスキングテープを素早くはがします。
速硬化タイプのシーリング材の場合、シーリング材がマスキングテープに引っ張られて、
壁面に付着する等のミスを起こし易く,除去作業やシーリングのやり直しが生じます。

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コラム執筆者:一級建築士 佐藤静

 

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