マンション外壁 タイル浮きや外壁の調査項目と調査内容 調査費用の目安
賃貸マンションオーナー様からタイル外壁の調査費用と、
修繕費用の概算を知りたいとお問い合わせがございました。
タイルの浮き、剥がれ
タイルは紫外線、二酸化炭素、酸素、塩化物などから建物躯体を守っています。
タイルは陶磁器製ですので紫外線により徐々に劣化し、
さらに降雨、風雪、凍結、地震、振動、温度変化による伸縮、
飛来物 などにより浮き、亀裂、ひび割れ、欠けなどが起こります
タイルが落下し第三者に怪我を負わせる事例も増えつつあります。
外壁の調査
マンション外壁の調査項目と内容を簡単にご紹介します。
1.事前調査
新築時の設計図書や過去に行った修繕工事等の報告書などを閲覧し、
建物の構造、仕上、使用材料などの基本事項を確認します。
雨漏りなどの不具合事象が発生しているときは、
オーナーや居住者にヒアリング調査を行います。
2.目視調査と打診調査
建物全体の劣化度を推測診断するために、
地上あるいはベランダ、屋外廊下、屋外階段から目視調査と打診調査を行います。
外部足場を必要としない目視調査、打診調査までは、一般的に無料です。
打診調査とは・・
打診調査は打診棒を使い、タイルとコンクリート躯体との間に空隙がないかを調べる方法です。
両者の間に空隙があると乾いた軽い音がしますので、
その音の違いを聞き分けタイルが浮いている部分を特定する方法です。
3.詳細調査:一般的に有償です
(1)赤外線調査
壁面を赤外線サーモグラフィーカメラで撮影し温度分布を見ることで異常個所を特定します。
地上、外部階段、外部廊下から打診棒が届かない壁面の調査が必要なときに行います。
ただし、サーモグラフィー温度分布は、
・太陽光の直射や隣接建物からの反射
・樹木や隣接建物の影
・風当り
の影響を受け、温度分布に正確性を欠くことがありますので、
現在の状況だけでなく測定前の状況も把握することが大切です。
またこの調査は、ある程度広い面積の温度分布を比較して判断する方法です。
壁面までの距離がない狭い場所での調査には向かない方法です。
(2)タイル引張接着強度調査
躯体コンクリートに対するタイルの接着強度を、
タイル引き張り試験機を使って測定します。
国土交通省「公共建築工事標準仕様書」
の引張接着強度基準は0.4N/mm2以上としています。
(3)コンクリート強度試験
a)非破壊検査(反発度法)
シュミットハンマーという測定器具を使いコンクリートの強度を測定する方法です。
コンクリートからの反発力を測定することでコンクリートの強度を推測します。
b)コンクリートコアによる圧縮強度試験(破壊検査)
コンクリート壁のうち主要構造部以外の、
例えば階段手摺壁などからコアを採取し圧縮破壊して強度を測定する方法です。
反発度法よりも正確な強度測定が可能です。
(4)コンクリート中性化試験
コンクリート強度試験で採取したコンクリートコアを使って試験することができます。
中性化試験は割裂面に1%フェノールフタレイン溶液を噴霧し透明に変わった位置を測定します。
コンクリートはアルカリ性で赤紫色を示し、中性化した部分は透明になる性質を利用します。
(5)配筋、かぶり厚調査
コンクリート用RCレーダーと呼ぶ検査機器を使い鉄筋の配置とかぶり厚さを調査します。
RCレーダーは、電磁波をコンクリート内部に向けて放射し鉄筋からの反射波を受信することで、
鉄筋の位置や深さを測定する検査機器です。
(6)シーリング材調査
目視によりひび割れや剥離などの劣化を調査します。
目視による劣化現象の判断が難しいときは、シーリング材硬度調査を実施します。
デュロメーターという硬度計で硬度を測定し、
測定した硬化度からシーリング材の劣化を判別する方法です。
調査費用の目安
建物規模や調査個所数、調査難易度など諸条件により費用は変わります。
1建物1ヵ所あたりの調査費用の目安としてご活用ください。
交通費、駐車場代、報告書作成費用、諸経費などは別途必要になります。
(1)赤外線調査:3~5万円
(2)タイル引張接着強度試験:5万~10万円
(3)コンクリート強度試験:a)シュミットハンマー反発度法:2~3万円
b)コンクリートコア破壊検査:8~15万円
(4)コンクリート中性化試験:2~5万円
(5)配筋、かぶり厚調査:5~10万円
(6)シーリング材調査:1~3万円
次回コラムは
「タイル外壁の修繕方法とその費用について」です
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コラム執筆者:一級建築士 佐藤静